
【レビュー】ハイコスパなNVMe SSD!Kingston KC2000(1TB)
- PCパーツ
- 2019/06/28
KingstonからフルスペックのNVMe SSDが発売されました!
このレビュー記事はKingston社様より製品の提供を受けています
Kingston初のフルスペックNVMe SSD!
Kingstonは米国に本社を置く独立系メモリモジュール製造メーカーで、メモリ製品の組み立て/テストに特化した企業です。以前から『A400』や『A1000』というNVMe接続のSSDを販売していましたがいずれもエントリーレベルであり、『A1000』で読み込み最大1500MB/s、書き込み1000MB/sというスペックです。価格をSATA接続のSSD並に抑えているので入門用としては最適ですが僕が所有しているSamsungの960EVOの半分程度の速度でした。しかし今回発売されたKC2000はPCIe3.0の4レーン接続となり、読み書きの最高速度が他社のハイスペックSSDに追いつく形になりました。更にハイレベルなセキュリティ機能も有しており値段も考慮すると選ぶ価値のあるSSDと言えるでしょう。
NVMeとは?
このSSDのフォームファクタは『NVMe』と呼ばれるもので、『M.2』という端子を介して接続します。NVMeとは、『NVM Express』の略で、不揮発性ストレージ、つまりRAMのように通電時だけデータを保持できるのではなく、電源を切ってもデータが保持されるストレージを接続するためのインターフェースであり、SATAの後継インターフェースです。『NVM』はSSDなどに使われているフラッシュメモリ(Non Volatile Memory)の頭文字を取ったものだそう。NVM SSDの多くが、PCIe端子に直挿しまたはM.2端子を介してPCIeと通信する方式を採用しています。今回のKC2000は後者ですね。
簡単に言うと SATAに代わる次世代のストレージ接続方法で、グラフィックボードなどと同じくPCIeで通信するためものすごく速いってことです。
Kingston KC2000のスペック
読み書き速度、書き込み総容量、MTBFなどは容量によって変化するため1TBモデルの値を記載しています。
製品名称 | KC2000 NVMe PCIe SSD |
---|---|
型番 | SKC2000M8 |
フォームファクタ | M.2 2280 |
インターフェース | NVMe™ PCIe Gen 3.0×4 レーン |
容量 | 250GB / 500GB / 1TB / 2TB |
NAND | 96層 3D TLC |
シーケンシャルリード | 最大3,200MB/s |
シーケンシャルライト | 最大2,200MB/s |
書き込み総容量 | 600TBW |
MTBF(平均故障間隔) | 200万時間 |
保証 | メーカー5年 |
KC2000のMTBFは200万時間と、スペックに定評のあるSamsungの960EVO(150万時間)を大きく引き離しています。保証も5年と長期にわたる無料サポートが受けられるようになっており、初めてNVMe接続のSSDを買う人でも安心して使えるようになっています。また総書き込み回数も、Samsungの1.5倍まで耐えうるスペックです。
今回は1TBモデルであるSKU2000M8/1000Gを提供していただきました。
開封の儀
KC2000のパッケージはこちら。しっかりした箱に入っていた960EVOとは違いスリーブパッケージですが、直に製品が見えるのはとても興奮します。M.2 SSDの小ささもアピールできるためとても良いパッケージングですね。
開封するとプラのアタッチメントにSSD本体が収められています。相変わらず小さい!
KC2000の付属品はありません。本体で全てです。プラの下に説明書などが入っているのかと思いきや、本当にこれだけです。まぁ特記すべき事項はありませんが…。
片面実装で裏面が平らな960EVOと違い、KC2000のNANDチップは両面実装です。なので裏面にもNANDチップが敷き詰められています。
両面実装なので少し分厚めです。裏面はマザーボードにほぼ密着状態なのでエアフローが心配になりますね。
前回はiPhoneとサイズ比較をしましたが今回は交通系ICカードとの比較。この方が小ささを分かってもらえるはずです。このサイズで1TBの容量があるなんて…
ASUS PRIME H270-PROへの取り付け
動作チェックとベンチマークのためPCに組み込みます。僕が使用しているマザーボードには2つM.2スロットがあり、片方がPCIe3.0x2レーンの最大1600MB/s、もう一方がPCIe3.0x4レーンの最大3200MB/s対応スロットです。普段は32GB/sのスロットにメインのSSDを刺していますが、KC2000に最大限速度を速度を発揮してもらう必要があるため970EVOは一時的に低速のスロットに差し替えます。
M.2スロットへのSSD搭載はとても簡単です。まず下準備としてマザーボードに付属するスペーサーを『2280』と書いてあるネジ穴にセットしておきます。
続いてスロットに対して斜めにSSDを差し込みます。
そのままネジ用の切り欠けがある方を押し込み、ネジで固定します。
これだけです。
マザーボードに2本もM.2 SSDが刺さっている光景、圧巻ですね!
ベンチマーク
取付後、早速ベンチマークを回してみました。使用ソフトは『CrystalDiskMark』です。
シーケンシャルリードは3244MB/sとスロットの最大速度まで出ています。ライトも2253MB/sで公称値通りの速度ですね。
続いて同規格のSamsung 960EVO 250GBとの比較です。一般にフラッシュメモリーは容量が大きいほどアクセスが早い傾向にあるので完全な同一スペックとして比較することはできませんがKC2000の方がランダムアクセスで優れている事がわかります。特にシーケンシャルライトで大幅に差がついており960EVOの1.5倍以上の速度が出ています。KC2000のシーケンシャルライト公称値が最大2200MB/sなのに対して960EVOでは最大1900MB/sなのでスペック通りではありますがアクセス速度はチップ自体よりもコントローラーに依存するのでKC2000が良いコントローラーを使用している証でしょう。
価格
記事執筆時点で価格に関しては以下の情報を受け取っています。
250GB | ¥6,580 |
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500GB | ¥11,900 |
1TB | ¥21,200 |
2TB | ¥43,000 |
PCIe3.0x4レーンのフルスペックであることを考慮すると他メーカーの製品とほぼ同等かむしろ安いくらいです。2年前は250GBで2万円近くしていたのに近年凄まじい勢いで価格が下落していますね。1万円も出せば500GBモデルが変えるのでシステム・アプリ用のCドライブにはもってこいなのではないでしょうか。
総評:質実剛健。基本を抑えたSSD
僕はマザーボードはASUS、ケースはAntec、SSDはSamsung、…という様にPCパーツに拘りがあり、今までメインで使うSSDはずっとSamsung製を選んできたわけですが、今回KC2000を使ってコストパフォーマンスの高さに驚きました。Kingstonの存在は以前より知ってはいましたが品質に関しては未知数でした。しかしKC2000はスペックでSamsung 970EVOを大きく引き離している上にブランド品であるSamsung製よりも安く買える、自信を持って人に勧められる、そんなSSDです。欲を言えばNVMe SSDに付いて回る排熱問題に対策がしてあれば文句なしですね。このSSDはせっかく提供して頂いたので外付けケースに入れてThunderbolt接続の超高速外付けSSDとしてMacと一緒に運用しようと考えています。その時はまた記事にしますのでお楽しみに!